決算月が近い会社の節税|今からできること・やってはいけないこと
結論:節税の目的は「会社にお金を残す」こと
「決算月が近いけれど、今から間に合う節税はないか」。そんなご相談をよくいただきます。結論は、まず経費の計上もれをなくすこと、次に必要な備品を期末までに買って使い始めることです。逆に、節税のためだけの買い物はお金を減らすだけなので、やってはいけません。
この記事では、今からできる対策と、やってはいけない対策を順に説明します。
まずやること:今期の利益を見積もる
対策の前に、今期の利益がいくらで着地しそうかをつかみます。見込みが分からないまま動くと、やりすぎたり足りなかったりするからです。直近の月まで記帳を終えて、残りの月の売上と経費を足して見積もります。毎月の試算表ができている会社なら、この作業に時間はかかりません。
今からできる①:未払費用の計上もれをなくす
未払費用とは、期末までに発生しているのに、まだ払っていない費用のことです。支払いが来期でも、今期の経費にできるものがあります。たとえば、給与の締め日の後から期末までの分や、期末月の水道光熱費・通信費です。
経費にできるかどうかは「債務の確定」という考え方で判定します。ざっくり言うと、次の3つがそろっていることです。
- 期末までに、支払う義務が決まっている
- その原因になる取引(仕入れや作業など)が期末までに終わっている
- 金額をきちんと計算できる
新しくお金を使わずに税金が減るので、まずここから手を付けるのが基本です。どこまで計上できるかは迷いやすいところなので、判断に迷ったら確認してください。
今からできる②:少額減価償却資産の特例
パソコンや机などの備品は、本来は数年に分けて経費にします。これを減価償却といいます。ただし中小企業者等には特例があり、1個の金額が基準未満なら、買った年度に全額を経費にできます。
注意したいのは、金額の基準が「買った日」で変わることです。
| 取得した日 | 1個あたりの基準 |
|---|---|
| 令和8年3月31日以前 | 30万円未満 |
| 令和8年4月1日以後 | 40万円未満 |
たとえば12月決算の会社なら、今期の中に30万円基準の買い物と40万円基準の買い物が混ざることになります。また、この特例の対象は、令和11年3月31日までに取得して事業に使い始めた資産です。期末までに「買うだけ」では足りず、「使い始める」ことまで必要です。年間の合計額に上限などの決まりもあるので、使う前にご確認ください。
やってはいけない:無駄な買い物は節税ではない
「税金で取られるくらいなら買ってしまおう」という考えは危険です。たとえば100万円の買い物をしても、減る税金はその一部にすぎません。差額のお金は、ただ会社から出ていっただけです。
使う予定のないものを買うのは、節税ではなく無駄遣いです。買ってよいのは「来期どうせ買うもの」「事業に本当に使うもの」だけです。節税の目的は税金を減らすことではなく、会社にお金を残すことだからです。
さらに悪いのは、架空の経費を乗せたり、売上をわざと翌期にずらしたりすることです。これは節税ではなく脱税で、重いペナルティの対象になります。
決算月に入ってからでは遅い対策もある
経費になる時期は決まりごとで決まっていて、後から動かすことはできません。そのため、決算月に入ってからできることは、実はそれほど多くないのです。
一番効くのは、決算の2〜3か月前から利益の見込みを立てておくことです。毎月の試算表ができていれば、焦って無駄な買い物をせずに済みます。来期に向けて月次の記帳の体制を整えることが、結局いちばんの節税対策になります。
参考(一次資料)
- 国税庁 No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定
- 国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
- 国税庁 No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)