弥生会計からfreeeへ、期の途中で乗り換えたときに実際にやったこと|開始残高・期中仕訳・固定資産の手順と注意点
この記事でわかること
当事務所では、弥生会計で記帳していた会社の帳簿を、期の途中でfreeeへ移行する作業を行いました。この記事は、そのときに実際にやった手順と、途中でつまずいた点をまとめたものです。
会計ソフトの乗り換えを検討されている経営者の方、経理担当の方に向けて、「何を準備して、どの順番で、どこに気を付けるか」が分かるように書いています。特定の会社の数字は出てきません。
なお、弥生会計もfreeeもそれぞれ良いソフトです。この記事は優劣の話ではなく、移行の作業手順の記録です。
全体の流れ
順番が大事です。特に「固定資産台帳の設定」と「開始残高の控え」は、あとから直すのに手間がかかるので、先にやります。
1. 切替日を決める
期の途中で乗り換えるときは、3つの日付を意識します。
- 期首: 開始残高を入れる基準日です。前期末の残高をそのまま使います
- 明細連携の開始日: 銀行口座やクレジットカードをfreeeにつないだ日です。この日以降の明細が自動で取り込まれます
- 切替日: 「ここまでは弥生の仕訳を移す。ここからはfreeeで記帳する」という境目です。直近の月末にするのが分かりやすいです
当事務所では、弥生で記帳が終わっている月の末日を切替日にしました。切替日より前の期間に連携済みの明細がある場合、その明細を仕訳として登録すると、移してきた仕訳と二重になります。この期間の明細は「無視」の扱いにします。
2. 移行前に揃えるもの
弥生側で出しておく資料
- 前期末の残高試算表
- 補助残高一覧表(期首から切替日まで)。取引先ごと、補助科目ごとの残高が分かります
- 仕訳日記帳(期首から切替日まで)
- 固定資産台帳
- 取引先・補助科目の一覧
freee側で先に作るもの
- 勘定科目: 弥生にあってfreeeにない科目は先に作ります。業種特有の売上・仕入科目、「修繕費(車)」のような細分科目などです。科目の区分(流動資産か投資その他の資産か等)はこの時点で確認します。あとで直すと期首からの付け替えが要ります
- 取引先か品目か: freeeでは取引先タグと品目タグの両方が使えますが、当事務所ではどちらか一方に統一しました。両方使うと、元帳や残高の見方が二重になり、確認の手間が増えます
- 口座: 銀行口座、現金(金庫が複数あれば複数)、クレジットカードを作ります。freeeの初期の「現金」口座は勘定科目名を変えられないので、名前を付けたい場合は新しく作ります
- 固定資産台帳の設定: 後述します。資産を登録する前に済ませます
3. 開始残高を入れる
freeeの開始残高は、科目ごとの金額を入れる画面です。前期末の残高試算表をそのまま転記します。ここで資産合計・負債純資産合計が弥生と一致していることを確認します。
内訳は期首日の振替伝票で
売掛金・買掛金・預り金・未払費用などは、取引先ごと、内容ごとの内訳がないと使えません。しかしfreeeの開始残高は、品目の内訳を持てません(取引先の内訳だけは「内訳を登録」で入れられます)。
当事務所では、期首の日付で「同じ科目の中で、未選択から取引先・品目へ付け替える」振替伝票を作りました。借方も貸方も同じ科目で、タグだけが違う伝票です。これで科目残高は変わらず、元帳を取引先別・品目別に見たときに正しい期首残高が出ます。
つまずいた点:同期中の銀行口座が開始残高の画面に出ない
銀行連携を先に済ませていた口座は、開始残高の入力画面に行が表示されませんでした。この場合は、開始残高をCSVでインポートすると、口座の科目名の行で登録できます。
ただし、インポートは既存の開始残高を全部置き換えます。実行前に必ず現在の開始残高をエクスポートして控えを取ってください。
4. 期中の仕訳を移す
弥生の仕訳日記帳を、freeeの振替伝票として取り込みます。件数が多いので、CSVを変換して一括で登録しました。
注意した点
- 減価償却の仕訳は除く: 弥生側で月次の減価償却を起票していた場合、それは移しません。freeeでは固定資産台帳から償却を計上するためです(後述)
- 消費税の経過措置: インボイス未登録の外注先への支払いは、仕入税額控除が80%になる経過措置の対象です。弥生の税区分をfreeeの対応する税区分(控除80%)に正しく変換します
- 切替日以降の仕訳は移さない: 弥生側に切替日より後の仕訳が入っていても、それは移しません。切替日以降はfreeeで記帳します
- 移した後の検算: 売掛金・買掛金・現金・預金の期間合計が、弥生と一致することを確認します。預金は銀行の明細とも照合します
連携済みの明細は「無視」
切替日より前の期間に、連携で取り込まれた銀行明細がある場合は、全件「無視」にします。仕訳は移してきた振替伝票側にあるので、明細を登録すると二重になります。
5. 固定資産台帳
つまずいた点:設定は「以後に登録する資産」にしか効かない
freeeの固定資産台帳には、償却の記帳方法(直接法か間接法か)と、月次で計上するか年次で計上するかの設定があります。弥生で間接法(減価償却累計額を使う方法)だった場合、freee側も間接法に揃えます。
この設定は、変更後に登録した資産にだけ適用されます。当事務所では先に資産を登録してしまい、設定を変えたあとに全件を削除して登録し直しました。先に設定、あとで登録です。
登録するもの
- 取得日、取得価額、耐用年数、償却方法
- 期首の帳簿価額(弥生の台帳の期首簿価)
- 管理番号には弥生側の資産コードを入れておくと、あとで突合しやすいです
- 品目タグを使う運用なら、資産ごとに品目を付けます
切替月以降の減価償却は、台帳から月次で自動計上されます。
6. 検算
移行が終わったら、切替日時点の残高を全科目で弥生と突き合わせます。当事務所で確認した項目は次のとおりです。
- 現金(金庫ごと)、預金(口座ごと)、クレジットカード
- 売掛金・買掛金(取引先別の内訳まで)
- 預り金(源泉所得税・住民税・社会保険料の内訳)
- 未払金・未払費用
- 賞与引当金などの引当金
- 固定資産の期首簿価の合計
一つでも合わなければ、原因を特定してから次に進みます。合わないまま新しい記帳を始めると、どこで狂ったかが分からなくなります。
移行して変わったこと
- 銀行・カードの明細が自動で入り、仕訳の候補が出るので、月次の記帳が月末にまとまらず、毎日少しずつ進むようになりました
- 取引先別・品目別の残高を元帳で確認できるので、別に管理していた消込の表が要らなくなりました
- 固定資産の減価償却が台帳から月次で計上されるので、手で起票する月次仕訳が減りました
まとめ
- 切替日は直近の月末。明細連携の開始日との関係を整理する
- 勘定科目・タグの方針・口座・固定資産台帳の設定は、残高を入れる前に決める
- 開始残高は科目合計、内訳は期首日の振替伝票
- 同期中の口座が開始残高画面に出なければCSVインポート。実行前に控えを取る
- 期中仕訳は減価償却を除いて移し、連携済み明細は無視
- 固定資産台帳は設定が先、登録が後
- 全科目で検算が合うまで、新しい記帳は始めない
会計ソフトの乗り換えをお考えの方は、お問い合わせフォームまたはお電話でご相談ください。現在の記帳の状況をお伺いした上で、切替の時期と手順をご提案します。