溜まったレシートはどこまで経費?家事按分の考え方・スマホ撮影の運用・7年保存の基本
まず結論:「撮る・分ける・残す」の3つで片付く
レシートが袋や引き出しに溜まって、手が付けられない。どこまで経費にしていいのかも分からない。そんなご相談を、個人事業主の方からよくいただきます。
結論から言うと、やることは3つだけです。受け取ったその場でスマホで撮る。仕事と私用が混ざる支出は「家事按分(割合で分けること)」で分ける。そして帳簿と領収書は原則7年残す。この記事では、この3つを順に説明します。
どこまで経費?物差しは「売上につながるか」
経費になるかどうかの基本の物差しは、「その支出が売上を得るために必要だったか」です。仕入れ、仕事道具、打合せの交通費などは、迷わず経費にできます。
一方で、家族との食事や私用の買い物は経費になりません。「レシートがあれば何でも経費」ではない点に注意してください。
迷いやすいのは、仕事と私用の両方に使っている支出です。これが次に説明する家事按分の出番になります。
自宅や車は「家事按分」で一部だけ経費にできる
自宅で仕事をしている方の家賃や電気代は、全額は経費にできません。ただし、仕事に使っている割合を合理的に分ければ、その分は経費にできます。これを家事按分といいます。
よく使われる分け方の基準は次のとおりです。
| 費用 | よく使う分け方の基準 |
|---|---|
| 家賃 | 仕事部屋の面積の割合 |
| 電気代 | 使う面積や時間の割合 |
| スマホ・ネット代 | 仕事で使う割合 |
| 車の費用 | 走行距離や使う日数の割合 |
大事なのは、「なぜその割合にしたか」を説明できることです。たとえば「全体50㎡のうち仕事部屋が12.5㎡だから25%」のように、根拠をメモに残しておきましょう。割合に唯一の正解はなく、実態に合っているかで判断されます(個別事情で変わります)。
レシートは「その場で撮る」運用に変える
溜まる原因のほとんどは、「あとでまとめてやろう」にあります。レシートを受け取ったその場でスマホで撮る習慣に変えると、山はできなくなります。
撮るときのコツは3つです。
- 1枚ずつ撮る(まとめ撮りは読みにくい)
- 日付・店名・金額が写っているか確認する
- 「誰と・何のため」をメモに残す(特に飲食代)
紙の原本は、原則として保存が必要です。ただし、電子帳簿保存法という国の決まりの要件を満たす方法でデータ保存すれば、紙を処分できる場合があります。要件は細かいので、迷ううちは紙も残しておくのが安全です。
保存は原則7年。捨てる時期を間違えない
青色申告の場合、帳簿と領収書などは原則7年の保存が必要です。請求書の控えや見積書など、一部の書類は5年になります。白色申告の方も、帳簿や書類の保存義務はあります。
数え始めは、その年の確定申告の期限の翌日からです。たとえば令和8年分なら、申告期限の翌日から7年間になります。「申告が終わったから捨てていい」ではない点にご注意ください。
溜まった分の片付け方:今日からの手順
すでに溜まっているレシートは、次の順番で片付けると早いです。
- 月ごとに封筒やクリアファイルに分ける
- 明らかに私用のものを抜く
- 残りをスマホで撮りながら記帳する
- 家事按分が必要なもの(家賃・通信費など)は最後にまとめて計算する
1年分を一気にやろうとせず、「今月は3か月分」のように区切ると続きます。按分の割合や経費にしてよいか迷うものは、無理に判断せず付せんを付けておき、まとめて専門家に確認するのが近道です。
よくある質問
レシートではなく領収書でないとダメですか? 多くの場合、日付・店名・金額・内容が分かるレシートで問題ありません。宛名入りの領収書が必須なわけではないことが多いです。
クレジットカードの明細だけで足りますか? カード明細は「何を買ったか」までは分からないことが多いです。お店のレシートもあわせて残しておくと安心です。
撮ったら紙は捨てていい? 要件を満たすデータ保存の仕組みを使っている場合に限られます。自己判断で捨てる前に、仕組みの要件を確認してください。
参考(一次資料)
- 国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識
- 国税庁 No.2070 青色申告制度
- 所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入)
- 電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)