相続税のコラム
相続税申告の必要書類はどこで取る?戸籍・残高証明・課税明細の取得先と日数の目安
まず結論:戸籍から始めれば迷いません
相続税の申告書類は多いですが、集める順番は決まっています。最初に戸籍、次に預金の残高証明、そのあとに不動産・保険・借入の順です。戸籍がそろわないと、銀行などで他の書類が取れないことが多いためです。
書類は5つの分野に分けると全体が見えます
「銀行、市役所、保険会社。どこから手を付ければいいのか」と聞かれることが多いです。書類を1枚ずつ数えると何十種類にもなり、途方に暮れてしまいます。しかし、次の5分野に分けると、やることは意外とシンプルです。
| 分野 | 主な書類 | 取得先 | 日数の目安 |
|---|---|---|---|
| 戸籍 | 出生から死亡までの戸籍一式 | 市区町村の窓口 | 2〜4週間 |
| 預金 | 残高証明書・取引明細 | 各金融機関 | 1〜2週間 |
| 不動産 | 固定資産税の課税明細・名寄帳 | 手元の通知書・市役所 | 即日〜数日 |
| 保険 | 死亡保険金の支払明細 | 保険会社 | 1〜2週間 |
| 借入 | 借入残高証明書 | 借入先の金融機関 | 1〜2週間 |
日数は目安です。郵送での請求や、本籍地の移動が多い方は長くなります。
最初は戸籍。ほかの手続きの「鍵」になります
戸籍は、亡くなった方の出生から死亡までの全部が必要です。相続人が誰なのかを証明するためです。結婚や転籍のたびに戸籍は作り直されるので、古いものまでさかのぼって集めます。
2024年3月から「広域交付」という制度が始まりました。本籍地が遠くても、最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できます。ただし窓口での請求に限られ、請求できる人も配偶者や子などに限られます。
戸籍がそろったら、法務局で「法定相続情報一覧図」を作ると便利です。これは相続人の関係を1枚にまとめた公的な証明書で、手数料はかかりません。銀行ごとに戸籍の束を出す手間がなくなり、手続きが一気に楽になります。
預金の残高証明は「亡くなった日」の日付で
残高証明書は、亡くなった日の日付で発行してもらいます。相続税は亡くなった日の財産で計算するためです。請求には戸籍(または法定相続情報一覧図)、本人確認書類、実印と印鑑証明書を求められることが多いです。
定期預金がある場合は「既経過利息」も一緒に記載を頼みましょう。既経過利息とは、亡くなった日までにたまっていた利息のことです。あとから頼むと二度手間になります。
ひとつ注意があります。残高証明を請求すると、銀行が亡くなった事実を知り、口座は止まります。公共料金の引き落としなど、当面の支払いを先に整理しておくと安心です。
不動産は固定資産税の課税明細から
毎年春ごろに届く固定資産税の納税通知書に、「課税明細書」が付いています。まずこれで、持っていた土地・建物を確認します。手元にないときは、市役所の資産税の窓口で「名寄帳」を取れます。名寄帳とは、その人が市内に持つ不動産の一覧表のことです。
共有の不動産や私道は、課税明細に載らないことがあります。漏れを防ぐには、名寄帳での確認が安心です。評価には登記事項証明書や路線価も使いますが、最初は課税明細で全体をつかめば十分です。
保険と借入は「プラスにもマイナスにもなる」書類
死亡保険金は、保険会社から届く支払明細で金額を確認します。亡くなった方が契約者で、まだ続いている保険があれば要注意です。解約した場合に戻るお金(解約返戻金)の証明書が必要になることがあります。
一方、借入金や未払金はマイナスの財産です。財産から差し引けます(債務控除といいます)。借入先の金融機関で残高証明書を取りましょう。医療費の未払い分や葬式費用の領収書も、差し引きに使えるので保管してください。
期限は10か月。書類集めは3か月以内が目安
相続税の申告期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。戸籍だけで1か月かかることもあるので、早めの着手が肝心です。おおむね3か月以内に主な書類がそろえば、残りの期間で遺産分けの話し合いと申告の準備が落ち着いてできます。
提出先の税務署は、亡くなった方の住所地で決まります。草加市なら川口税務署、越谷市・八潮市なら越谷税務署です(例外あり)。地域の窓口は草加市・越谷市・八潮市・川口市のページにまとめています。
参考(一次資料)
- 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税
- 国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
- 国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
- 戸籍法(戸籍証明書等の広域交付)
- 不動産登記規則(法定相続情報証明制度)