贈与税のコラム
住宅資金・教育資金の援助に贈与税はかからない?非課税の特例3つと選び方を解説
結論:非課税で援助する道は3つ+「都度の援助」
「子どもの住宅購入を助けたい」「孫の学費を出してあげたい」。でも、まとまったお金を渡すと贈与税がかかるのでは、と不安な方は多いです。
結論からいうと、非課税で援助できる制度は主に3つあります。住宅取得等資金の非課税、教育資金の一括贈与、相続時精算課税です。さらに、学費や生活費を「必要な都度」渡す援助には、もともと贈与税がかかりません。
そもそも「必要な都度」の援助は非課税です
意外と知られていませんが、親や祖父母が子や孫の学費・生活費をその都度払うことは非課税です。扶養義務者(親や祖父母など、家族を養う義務のある人)の間の、通常必要な範囲の援助だからです。
ただし条件があります。「必要なときに、必要な分だけ」渡すことです。
- 大学の入学金を、納付のタイミングで親が払う → 非課税
- 下宿の家賃を毎月払う → 非課税
- 「将来の学費に」と500万円を一度に渡す → 贈与税の対象になりえます
まとめて渡したお金が使われず預金に残っていると、贈与とみなされることがあります。都度払いで足りるなら、特例を使わなくても援助できるのです。
住宅取得等資金の非課税:最大1,000万円
子や孫が家を買う・建てるための資金なら、「住宅取得等資金の非課税」が使えます。省エネ等住宅(一定の省エネ・耐震基準を満たす家)なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで非課税です。令和8年12月31日までの贈与が対象です。
主な条件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 渡す人 | 父母・祖父母(直系尊属) |
| もらう人 | 18歳以上の子・孫 |
| 所得 | もらう人の合計所得金額が2,000万円以下 |
| 期限 | 贈与の翌年3月15日までに取得し居住(見込み含む) |
| 手続き | 税額ゼロでも贈与税の申告が必要 |
特に注意したいのが最後の2つです。翌年3月15日までに家が完成せず住めないと、非課税が使えないことがあります。また、税額がゼロでも申告をしないと非課税になりません。
教育資金の一括贈与:1,500万円まで非課税
「都度払いではなく、先にまとめて確保してあげたい」という場合の制度です。信託銀行などに専用口座を作り、30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与すると、1,500万円まで非課税になります。塾や習い事など学校以外への支払いは、このうち500万円が上限です。
注意点は次のとおりです。
- もらう人の前年の合計所得金額が1,000万円を超えると使えません
- 30歳になった時点の使い残しには、原則として贈与税がかかります
- 贈与した方が亡くなると、使い残しが相続税の対象になる場合があります
- 期限のある制度で、延長や見直しが繰り返されています。利用前に最新の内容をご確認ください
支払いのたびに領収書を金融機関へ出す手間もあります。都度払いで足りるご家庭には、一括贈与は不要なことも多いです。
相続時精算課税:2,500万円まで贈与税なしで渡せる
使いみちを限定せず、まとまった財産を渡したいときの制度です。60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与で選べます。合計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。
ただし、これは「非課税」というより「後払い」に近い制度です。贈与した財産は、相続のときに相続財産に足し戻して相続税を計算します。名前のとおり「相続時に精算」するわけです。
令和6年からは、この制度にも年110万円の基礎控除ができました。年110万円以内の贈与なら申告不要で、相続時の足し戻しも不要です。一方、一度選ぶと暦年課税(年110万円までが非課税の通常の贈与)には戻れません。選ぶ前の試算が欠かせない制度です。
どの制度が合う?選び方の目安
目安を表にまとめます。
| 援助の目的 | 向いている方法 |
|---|---|
| 学費・生活費をその都度払う | 都度の援助(もともと非課税) |
| 家の購入・新築を助ける | 住宅取得等資金の非課税 |
| 教育資金を先にまとめて確保 | 教育資金の一括贈与 |
| 使いみちを限定せず多額に | 相続時精算課税 |
どの特例も、申告や手続きを忘れると使えません(例外あり)。また、贈与の時点では得でも、相続まで通して見ると不利になる組み合わせもあります。金額や家族構成で有利・不利が変わるため、実行する前に全体を試算して確かめるのが安全です。
参考(一次資料)
- 国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- 国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
- 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
- 相続税法・租税特別措置法