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公開日:執筆:公認会計士・税理士 嶋田景太

結論:非課税で援助する道は3つ+「都度の援助」

「子どもの住宅購入を助けたい」「孫の学費を出してあげたい」。でも、まとまったお金を渡すと贈与税がかかるのでは、と不安な方は多いです。

結論からいうと、非課税で援助できる制度は主に3つあります。住宅取得等資金の非課税、教育資金の一括贈与、相続時精算課税です。さらに、学費や生活費を「必要な都度」渡す援助には、もともと贈与税がかかりません。

1,000万円住宅資金の非課税(省エネ等住宅)
1,500万円教育資金の一括贈与の非課税枠
2,500万円相続時精算課税の特別控除
贈与税の主な非課税枠(令和8年10月現在)

そもそも「必要な都度」の援助は非課税です

意外と知られていませんが、親や祖父母が子や孫の学費・生活費をその都度払うことは非課税です。扶養義務者(親や祖父母など、家族を養う義務のある人)の間の、通常必要な範囲の援助だからです。

ただし条件があります。「必要なときに、必要な分だけ」渡すことです。

  • 大学の入学金を、納付のタイミングで親が払う → 非課税
  • 下宿の家賃を毎月払う → 非課税
  • 「将来の学費に」と500万円を一度に渡す → 贈与税の対象になりえます

まとめて渡したお金が使われず預金に残っていると、贈与とみなされることがあります。都度払いで足りるなら、特例を使わなくても援助できるのです。

住宅取得等資金の非課税:最大1,000万円

子や孫が家を買う・建てるための資金なら、「住宅取得等資金の非課税」が使えます。省エネ等住宅(一定の省エネ・耐震基準を満たす家)なら1,000万円、それ以外の住宅なら500万円まで非課税です。令和8年12月31日までの贈与が対象です。

主な条件は次のとおりです。

項目 内容
渡す人 父母・祖父母(直系尊属)
もらう人 18歳以上の子・孫
所得 もらう人の合計所得金額が2,000万円以下
期限 贈与の翌年3月15日までに取得し居住(見込み含む)
手続き 税額ゼロでも贈与税の申告が必要
1贈与を受ける
お客様父母・祖父母から住宅資金を受け取る
2住宅を取得
お客様新築・購入の契約床面積等の要件を確認
3期限までに居住
注意贈与の翌年3月15日までに取得して居住
4贈与税の申告
税理士翌年2月1日〜3月15日税額ゼロでも必要
住宅資金の非課税を使う流れ

特に注意したいのが最後の2つです。翌年3月15日までに家が完成せず住めないと、非課税が使えないことがあります。また、税額がゼロでも申告をしないと非課税になりません。

教育資金の一括贈与:1,500万円まで非課税

「都度払いではなく、先にまとめて確保してあげたい」という場合の制度です。信託銀行などに専用口座を作り、30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与すると、1,500万円まで非課税になります。塾や習い事など学校以外への支払いは、このうち500万円が上限です。

都度の援助
そのつど学費等を払う
もともと非課税
手続き・申告は不要
使う分だけ渡せる
一括贈与の特例
専用口座にまとめて預ける
1,500万円まで非課税
金融機関での手続きが必要
30歳時の使い残しに課税
都度の援助と一括贈与の違い

注意点は次のとおりです。

  • もらう人の前年の合計所得金額が1,000万円を超えると使えません
  • 30歳になった時点の使い残しには、原則として贈与税がかかります
  • 贈与した方が亡くなると、使い残しが相続税の対象になる場合があります
  • 期限のある制度で、延長や見直しが繰り返されています。利用前に最新の内容をご確認ください

支払いのたびに領収書を金融機関へ出す手間もあります。都度払いで足りるご家庭には、一括贈与は不要なことも多いです。

相続時精算課税:2,500万円まで贈与税なしで渡せる

使いみちを限定せず、まとまった財産を渡したいときの制度です。60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与で選べます。合計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。

ただし、これは「非課税」というより「後払い」に近い制度です。贈与した財産は、相続のときに相続財産に足し戻して相続税を計算します。名前のとおり「相続時に精算」するわけです。

令和6年からは、この制度にも年110万円の基礎控除ができました。年110万円以内の贈与なら申告不要で、相続時の足し戻しも不要です。一方、一度選ぶと暦年課税(年110万円までが非課税の通常の贈与)には戻れません。選ぶ前の試算が欠かせない制度です。

どの制度が合う?選び方の目安

Q1住宅の購入・新築のための資金?
はい
住宅資金の非課税を検討
いいえ
Q2教育費をまとめて先に渡したい?
はい
教育資金の一括贈与を検討
いいえ
Q3一度にまとまった額を渡したい?
はい
相続時精算課税を検討
いいえ
都度の援助・暦年贈与を検討
援助の目的から制度を選ぶ目安

目安を表にまとめます。

援助の目的 向いている方法
学費・生活費をその都度払う 都度の援助(もともと非課税)
家の購入・新築を助ける 住宅取得等資金の非課税
教育資金を先にまとめて確保 教育資金の一括贈与
使いみちを限定せず多額に 相続時精算課税

どの特例も、申告や手続きを忘れると使えません(例外あり)。また、贈与の時点では得でも、相続まで通して見ると不利になる組み合わせもあります。金額や家族構成で有利・不利が変わるため、実行する前に全体を試算して確かめるのが安全です。

参考(一次資料)

  • 国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
  • 国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
  • 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
  • 国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
  • 相続税法・租税特別措置法
公認会計士・税理士 嶋田景太

この記事を書いた人

嶋田 景太公認会計士・税理士

有限責任監査法人トーマツで会計監査に従事し、Deloitte Australia 駐在を経て、2021年に嶋田景太公認会計士・税理士事務所を設立。埼玉県草加市で、税務顧問・相続税申告・会計監査を行っています。事務所について

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