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公開日:執筆:公認会計士・税理士 嶋田景太

結論:最低限はこの3枚+県税・市役所の2枚

「会社を作ったあと、税務署や役所に出す書類が多すぎて分からない」。設立直後の社長から、いちばん多くいただくご相談です。

結論からお伝えします。まず税務署に出すのは「法人設立届出書」「青色申告の承認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」の3枚です。これに県税事務所と市役所への設立届を加えた合計5枚が、ほぼすべての会社に共通する基本セットになります。

期限がいちばん怖いのは青色申告の承認申請です。原則として設立から3か月以内(第1期が短い場合はもっと早い)なので、最優先で出してください。

3か月青色申告の申請期限の目安
10人未満納期の特例が使える人数
2回/年特例後の源泉所得税の納付
まずこの3つの数字だけ覚えてください

期限の早い順に並べると迷わない

書類が多く感じるのは、提出先と期限がバラバラだからです。設立日からの期限順に並べ直すと、やることは意外とシンプルです。

設立日登記完了・定款の写しを用意
1か月以内給与支払事務所等の開設届出書
2か月以内法人設立届出書(税務署)
3か月以内青色申告の承認申請書
なるべく早く県税事務所・市役所へ設立届
設立日から数える主な期限(令和8年)
書類 提出先 期限
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 開設から1か月以内
法人設立届出書 税務署 設立から2か月以内
青色申告の承認申請書 税務署 設立3か月後と第1期末の早い方の前日まで
法人設立の届出 県税事務所 自治体の定めによる(早めに)
法人設立の届出 市役所 自治体の定めによる(早めに)

県税・市役所の期限は自治体ごとに決まっていて、税務署より短いことが多いです。税務署の分とまとめて、最初の1〜2週間で一気に出してしまうのが安全です。

税務署に出す3枚の中身

法人設立届出書

「こういう会社ができました」と税務署に知らせる書類です。会社名・住所・事業年度・代表者などを書き、定款のコピーを添えます。期限は設立の日から2か月以内です。

青色申告の承認申請書

青色申告(帳簿をきちんと付ける代わりに税金面の特典を受けられる制度)の申込書です。赤字を翌年度以降10年間繰り越して黒字と相殺できるなど、特典が大きい制度です(例外あり)。

期限は「設立から3か月を経過した日」と「第1期の終わりの日」の、どちらか早い日の前日までです。たとえば12月決算の会社を11月に作ると、期限は3か月後ではなく第1期末になります。1日でも遅れると第1期は白色申告になるため、設立届と同じ日に出すことをおすすめします。

給与支払事務所等の開設届出書

役員や従業員に給与を払う会社であることを知らせる書類です。社長1人の会社でも、役員報酬を払うなら必要です。期限は開設から1か月以内で、これを出すと源泉所得税(給与から天引きする所得税)の納付書が届くようになります。

1登記完了
お客様法務局で設立登記定款の写しを用意
2税務署へ3枚
お客様設立届・青色申請給与支払事務所届
3県税・市役所
お客様それぞれに設立届添付書類も確認
4期限を確認
注意青色は3か月以内出し忘れに注意
3か所分をまとめて準備すると一度で済みます

納期の特例も一緒に申請すると楽になる

給与から天引きした源泉所得税は、原則として翌月10日までに毎月納めます。小さな会社にとって、この「毎月」が地味に大変です。

そこで使えるのが「源泉所得税の納期の特例」です。給与の支給人員が常時10人未満なら、納付を年2回にまとめられます。1月〜6月分は7月10日まで、7月〜12月分は翌年1月20日までです。

原則(毎月)
翌月10日までに納付
納付は年12回
うっかり忘れやすい
人数の制限なし
納期の特例
7月10日と1月20日
納付は年2回
手間がぐっと減る
常時10人未満が条件
納期の特例で納付が年12回→年2回に

申請書は給与支払事務所の届出と同時に出せます。ただし、申請した月に払う給与の分は原則どおり翌月10日納付です。特例が効き始めるのは申請の翌月に払う給与からなので、最初の1回だけ毎月納付が残る点に注意してください。

県税事務所と市役所を忘れずに

見落としやすいのが、県と市への設立届です。法人の税金は国(法人税)だけでなく、県民税・事業税と市民税もあるため、県税事務所と市役所にもそれぞれ届出が要ります。登記事項証明書や定款の写しの添付を求められることが多いです。

このあたりの地域の窓口は次のとおりです(2026年10月時点)。

お住まい・本店所在地 税務署 県税事務所
草加市 川口税務署 越谷県税事務所
越谷市・八潮市 越谷税務署 越谷県税事務所
川口市 川口税務署または西川口税務署(町名で分かれる) 川口県税事務所

市役所は、本店所在地の市の法人市民税の担当窓口に出します。市ごとの詳しい窓口は、草加市・越谷市・八潮市・川口市の各ページにまとめています。

出し忘れたらどうなる?

設立届は、遅れてもすぐに罰則があるわけではなく、気づいた時点で出せば受け付けてもらえるのが通常です。一方で、青色申告の承認申請だけは期限を過ぎると第1期に間に合わず、取り返しがつきません。

また、任意の届出として「減価償却資産の償却方法の届出書」などもあります。出さなくても法律で決まった方法が自動で適用されるので、必須ではありません。自社に有利な方法を選びたい場合は、第1期の申告期限までに検討すれば間に合います。

なお、社会保険(年金事務所への新規適用届)や労働保険の手続きは、税金の届出とは別に必要です。従業員を雇う予定がある方は、設立直後の全体スケジュールをまとめた最初の1か月にやることの記事もあわせてご覧ください。

参考(一次資料)

  • 国税庁 No.5100 新設法人の届出書類
  • 国税庁 No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例
  • 国税庁 No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除
  • 法人税法(青色申告の承認申請)
  • 地方税法(法人住民税・法人事業税の届出)
公認会計士・税理士 嶋田景太

この記事を書いた人

嶋田 景太公認会計士・税理士

有限責任監査法人トーマツで会計監査に従事し、Deloitte Australia 駐在を経て、2021年に嶋田景太公認会計士・税理士事務所を設立。埼玉県草加市で、税務顧問・相続税申告・会計監査を行っています。事務所について

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