相続税の税率について徹底解説
埼玉県草加市の税理士です(獨協大学前駅東口より徒歩1分)。
主に草加市・越谷市・川口市・八潮市にて、相続でお困りの方に向けて、相続税の生前対策から遺産分割、相続税申告まで承っております。
Contents
相続税の基本とは
相続税は、亡くなった方の財産を相続したときに、その財産に対してかかる税金のことです。この税金は相続人の方にとって、負担が大きくなることがありますので、まずはその仕組みについて理解しておくことが大切です。
相続税は、遺産の総額から基礎控除額を引いた残りの金額に対して課されます。基礎控除額は、相続人の数やその他の条件に応じて変動します。
相続税の税率は累進課税制度が採用されており、財産の総額が多いほど税率が高くなります。これにより、財産をたくさん持っている方ほど税金を多く支払う仕組みとなっています。
相続税と贈与税の違い
相続税と贈与税はどちらも財産の移転にかかる税金ですが、その適用されるタイミングと課税方式が異なります。
- 相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を相続した際にかかる税金です。相続税は、亡くなった方が所有していた財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額に対して課税されます。相続が発生したときにのみ支払う必要があるため、一度に大きな金額がかかることがあります。
- 贈与税は、生前に財産を他人に贈与した際にかかる税金です。贈与税の基礎控除額は年間110万円で、この金額以下の贈与であれば税金はかかりません。贈与税は、相続税の一部として見なされることもあり、贈与を使って相続財産を減らすことで、相続税の節税対策に役立つことがあります。
相続税は累進課税方式が採用されており、財産が多ければ多いほど税率が高くなりますが、贈与税も累進課税方式であり、年間の贈与額が多くなるほど税率が上がります。これにより、生前贈与を計画的に行うことで、将来の相続税負担を減らすことができるため、両者の特性を理解しながら節税対策を行うことが重要です。
相続税の税率表について
相続税の税率は、以下のように財産の金額に応じて異なります。
財産額の範囲 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | 0万円 |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の計算には、この税率表を使って、課税対象となる遺産の金額に応じた税率を適用していきます。
相続税の計算の仕組みを具体例で解説
相続税の計算を具体的な例を用いて解説します。
たとえば、遺産総額が1億円だった場合を考えます。相続人が1人であると仮定すると、基礎控除額は4,800万円です。したがって、課税対象となる遺産額は1億円から4,800万円を引いた5,200万円となります。
この5,200万円に対して税率を適用すると、以下のようになります。
- 5,000万円までは20%の税率で計算し、控除額が200万円となります。
- 残りの200万円については、30%の税率が適用されます。
結果として、相続税額は次のように計算されます。
財産額の範囲 | 税率 | 控除額 | 計算された税額 |
---|---|---|---|
5,000万円 | 20% | 200万円 | 800万円 |
残りの200万円 | 30% | なし | 60万円 |
最終的な相続税額は860万円となります。
基礎控除額について理解しよう
相続税の基礎控除額は、「3,000万円 + 600万円 × 相続人の数」で計算されます。たとえば、相続人が3人いる場合、基礎控除額は3,000万円 + (600万円 × 3人) で、合計4,800万円となります。
基礎控除額が大きくなればなるほど、課税対象となる遺産の金額が少なくなり、結果として相続税の負担が軽くなります。そのため、相続税を抑えるためには、相続人の数を増やすことも有効な方法の一つです。
相続税の節税対策とは
相続税の節税対策にはさまざまな方法があります。代表的な節税対策をいくつか紹介します。
1. 生前贈与を活用する
生前に贈与することで、相続財産を減らすことができます。贈与税の基礎控除額は年間110万円ですので、毎年少しずつ贈与を行うことで、大きな節税効果を期待できます。
2. 生命保険を利用する
生命保険の死亡保険金は、法定相続人1人あたり500万円までは非課税となります。この非課税枠を利用することで、相続税の負担を軽減することが可能です。
3. 不動産を活用する
不動産の評価額は、実際の市場価値よりも低くなることが多いため、不動産を相続財産に含めることで節税効果が期待できます。また、賃貸物件を所有している場合、その評価額はさらに低くなります。
相続税の申告期限と注意点
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎてしまうと、延滞税や加算税が発生する可能性がありますので、注意が必要です。
また、相続税の申告には多くの書類や手続きが必要となるため、早めに準備を進めることが大切です。必要に応じて、専門家に相談することもおすすめします。
相続税に関するよくある質問
相続税について多くの方が疑問に思う点をいくつか取り上げ、それに対する回答を紹介します。
相続税がかかるかどうかは、基礎控除額を超えるかどうかで決まります。基礎控除額は、「3,000万円 + 600万円 × 相続人の数」ですので、例えば相続人が2人の場合、4,200万円を超える遺産がある場合に相続税がかかります。
生前贈与には、贈与税がかかりますが、毎年110万円までの基礎控除があります。一方、相続には基礎控除がありますが、遺産の総額が大きい場合、相続税の税率が高くなります。どちらが得かは、具体的な財産額や相続人の状況によりますので、ケースバイケースで判断する必要があります。
相続税の支払いには、現金一括払いのほかに延納という方法があります。延納とは、相続税を分割して支払う方法で、一定の条件を満たす場合に利用することができます。また、不動産などの資産を売却して相続税を支払う方法もあります。
相続税の基礎控除額以下の遺産しかない場合、相続税の申告は必要ありません。しかし、相続財産の分割や名義変更などの手続きは必要ですので、遺産分割協議書の作成など、一定の手続きを行うことが重要です。
相続税の延納を利用するためには、相続税額が10万円を超えることや、現金で一括納付するのが困難であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。また、不動産などの担保を提供することも求められます。
未成年の相続人には、相続税の計算において「未成年者控除」が適用されます。これは、相続人が20歳になるまでの年数に対して1年あたり10万円を控除する制度で、相続税の負担を軽減することができます。
相続人や被相続人が海外に住んでいる場合でも、日本国内にある財産については相続税が課されることがあります。また、相続人が日本に住所を持っているかどうかで課税範囲が異なるため、専門家に相談することが重要です。
遺産分割がまとまらない場合でも、相続税の申告期限である10ヶ月以内に申告と納税を行う必要があります。この際、法定相続分に従って一旦申告し、遺産分割が確定した後に更正の請求を行うことで調整することが可能です。
相続税の課税価格の評価方法には、土地や建物などの不動産の場合、路線価方式や倍率方式が用いられます。また、金融資産は時価で評価され、評価方法は財産の種類によって異なります。
二次相続とは、例えば両親のうち一方が亡くなり、次にもう一方が亡くなった場合の相続を指します。一次相続時に相続税対策をしておくことで、二次相続時の税負担を軽減することができます。一次相続と二次相続を総合的に考えた節税対策が重要です。
相続放棄をした場合、その相続人は相続税を支払う義務はありません。しかし、相続放棄をしたことで他の相続人の相続分が増える場合、その相続分に対する相続税が増える可能性があります。
生前に住宅取得資金の贈与を受けた場合、その贈与は相続財産から除かれますが、贈与税の非課税枠などの特例を利用することで、相続税の節税に繋がることがあります。贈与税と相続税のバランスを考えて活用することが大切です。
まとめ
相続税の税率は、累進課税制度により財産の総額が多いほど高くなります。この記事では、相続税の基本から税率表の見方、具体的な計算方法、節税対策までを詳しく解説しました。相続税の負担を軽減するためには、早めに準備を進めることが重要です。特に、生前贈与や生命保険の活用、不動産の相続など、さまざまな方法を検討することで、大きな節税効果を期待することができます。
ご相談事などございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。